2021: my best albums / マイベストアルバム

my favorite albums

 

💫対象💫
2021年1月~2021年11月までにリリースされたアルバム、EPのうち、最低1回は聴き通したもの。

💫基準💫
1. トータル的な作品として優れていると感じること
2. 大きな影響力を持っている/持つべき作品であること
3. 純粋に自分がその作品を好きだということ

💫雑感💫
昨年から「For Meか否か」というのが重要な判断基準になっていると感じます。ゆえ、最終的にはなるべく個人的趣向が出るような選び方を心がけました。つまり2021年のシーンを振り返るにはベストな10枚ではなく、あくまでイチ聴取者による視点の一つとしてベストな10枚であるということです。(しかし、ランキングをつけるということにそもそもそれ以上の価値を見出せるでしょうか?)

 

10. 4s4ki / Castle in Madness
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Hyperpopの最期に建った狂気ノ城

 「Hyperpop」は具体的な音楽ジャンルを表す言葉ではありません。自身の身体的、精神的な面での問題や違和感を過剰な音楽性で芸術に昇華させた人たちが中心となってシーンを形成したという一面を持っており、時代性とスタイルで括られるジャンルと言えます。4s4kiは、主に生きづらさというメンタルヘルスの問題をカオスな音像で表現するという点で、カルチャーのスタイルに則ったアーティストです。メジャーデビューを果たした今作では、Anime×V系×kawaii的容姿&情緒豊かなメロディという日本ならではの要素を自然な形で盛り込むことで、自身のオリジナリティを示すことに成功。2021年1月にSophieが急逝し、Charili XCXも次のフェーズへと移行したことで、Hyperpopに何らかの変革が余儀なくされている中、日本においてリアルタイムでシーンに共振した数少ない作品となりました。

9. Gojira / Fortitude
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野性と知性を併せ持つ不屈の精神

  フランス発のメタル・バンド(一様でない音楽性からサブジャンルを付けづらい)、Gojiraの最新作。メタル・シーンを突き出た高い評価を獲得し、セールス的にも成功を収めた今作ですが、その批評的/商業的成功も頷ける完成度に仕上がっています。全体的にズッシリ構えた重い音像ですが、プログレッシブな展開やトライバルな要素が多分に織り込まれており、様々な箇所に安易なラベリングが難しいバンドの多様な姿を見ることができます。また、バンドの特徴である環境問題を主軸としたメッセージ性の強いリリックも健在で、コントロールされた荘厳なサウンドプロダクションも相まって一層強い説得力が付与されています。
 まさに野性と知性の交錯とも言えるアルバム。王者の風格すら漂う今作が、メタル・シーンの基準を更新し、2020年代の新たな指標として君臨していくのではないでしょうか。

8. Joyce Wrice / Overgrown
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R&B黄金時代をもう一度

 アフリカ系アメリカ人の父と日本人の母を持つJouce Wriceのデビュー・アルバム。Aaliyah「Aaliyah」やJanet Jackson「The Velvet  Rope」を彷彿とさせるいかにも名盤風のジャケットに、客演を交えながら繰り広げられるインタールードの数々など、90s~00s前半のR&B黄金時代を意識した作りになっています。Lucky DayeやMary J. Bligeを手掛け、Silk SonicのプロデューサーでもあるD‘Mileによるディレクションはバッチリで、従来のR&Bの方法論を良い意味で採用した「No One」、スロウなネオソウルナンバー「Addicted」など良質な楽曲が並びます。また、同じく日本にルーツを持つUMIをフィーチャーした「That’s On You」では日本語歌唱を披露。インスピレーション源へのリスペクトを作品内で示すという王道な楽曲作りに、Wriceの音楽への誠実さと几帳面な性格を窺い知れます。R&B/ソウルを愛するすべての人に向けられた作品。

7. Ice Nine Kills / Welcome To Horrorwood: The Silver Scream 2f:id:rykaworu:20220116002212j:plain
ホラーとは恐怖、ナンセンス、そしてエンタメ

 メタルコア・シーンで活躍するIce Nine Killsの6作目となるスタジオ・アルバム。名作ホラー映画からインスパイアされたコンセプト・アルバムという点では前作と同じですが、凶暴性は以前より遥かに増し、圧倒的に「速く」なっています。冒頭から全パート、ハイ・ヴォルテージの「Welcome To Horrorwood」、チャッキーのキュートな狂気を表現した「Assault & Batteries」、エモ的激情コーラスと陽気なエイティーズパートの落差がまさに“サイコ”な「Hip To Be Scared」と、まるで垂直降下のジェットコースター。暴力的な激しさとアイデアいっぱいの展開力、メロディアスなコーラスが壮絶な“G”を生み、エクスタシーを感じること請け合いです。
 ホラーとは恐怖で、且つナンセンスでシュールなもの、でもまず何よりも、娯楽的であるべき…そんなバンドのホラー愛とこだわりが溢れ出た、最高にクールで最低に悪趣味なエンタテインメント作品。

6. Billie Eilish / Happier Than Everf:id:rykaworu:20220116002353j:plain
2021年に対するパーフェクトな回答

 自分自身の創造性と、周囲からの期待、そして2021年という時代性、その全てを作品に反映させることは殆ど不可能と言ってもいいほど困難なことです。しかし、2010年代最後にして最大のゲームチェンジャーとなったオコネル兄妹は、そんな難関を殆どたった二人で乗り越え、全世界を納得させる驚愕の新作を作り上げました。歳をとること、失恋したこと、自分の可能性や表現方法を誰にも妨げられないこと、意思を持って社会に参加すること、自分の力を信じること。この作品には、ビリー・アイリッシュという人間がこの時代に果たせるメッセージの全てが存在しています。前作を踏襲したミニマルなサウンドを更に洗練させた「Getting Older」から、ビリーからエモ・リバイバルへの回答とも言える「Happier Than Ever」まで、音楽的な面での目配せ、統一感も完璧です。自分たちの力だけで目的地に彷徨うことなく辿り着いたこの作品は、まさに奇跡。

5.  James Blake / Friends That Break Your Heartf:id:rykaworu:20220116002540p:plain
「君が何を言おうとも」、最高傑作です

 ポストダブステップの寵児として、2010年代を最前線で走り抜けたJames Blakeの6枚目となるアルバムは、前作以上に自分の声と向き合って作られた非常に美しい作品です。彼の特徴的なビートは、今回も丁寧に作り込まれ、奇妙であり、変わらず個性的と言えます。しかしそれ以上に存在感を放っているのは、「声」の力です。伸びのある歌声を前面に押し出した楽曲には、どれも喜びや哀しみ、失望、希望が混在する複雑な心境が表されています。しかし、最先端でないといけない、期待に応えなくてはいけないといった外的圧力から解き放たれた今作には、全編を通してあたたかなオーラに溢れています。フィニアスが出演する「Say What You Will」のMVでは、オコネル兄妹への嫉妬心を隠すことなく表現。と同時に、これはこれから次世代のスターとして”サイコパスたち”と対峙することになるフィニアス達へのエールとも受け取れます。
 他人との比較は無意味なもの―そう分かっていても、中々受け入れられることのできない事実。長い混沌の中でようやくたどり着いた、悟りの傑作です。

4. Joy Crookes / Skin
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肌は生きるために与えられたもの

 ブリット・アワーズの新人賞にノミネートされ、デビュー前から英国で高い注目を集めていたJoy Crookesの1stアルバム。アルバムには、ゴージャスな「19th Floor」や、クルーナーボイスで終わった恋を歌う「When You Were Mine」など筆舌に尽くし難いナンバーが並んでおり、23歳にしてすでに人生の憂い、郷愁を感じさせるジャジーなボーカルには、あらゆる人々が魅了されることでしょう。一方で、アイルランドとバングラデシュのミックスであるCrookesは、「Unlearn You」にて自身の性被害の経験をピアノのバラードに乗せて歌い、「Skin」では「あなたの肌は(不当な扱いをされるためではなく)生きるために与えられたものだ」と歌います。本人が「自分のアイデンティティに関するアルバム」と語る通り、これは実に個人的な作品ですが、同時にあらゆる人に普遍的な作品であるとも言えるでしょう。伝統的な美しさと現在地の詳細な描写を果たした今作は、ニーナ・シモンやエイミー・ワインハウスの意思を継ぎ、クラシックとモダンを繋いだ重厚な物語です。

3. Iceage / Seek Shelter
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 ロックンロールがシェルターを取り戻す日

 コペンハーゲン出身のバンド・Iceageの5枚目は、ポストロック・ムーブメントの功労者の座から脱出し、転換と進化を図った至上のロックンロール・アルバムです。広大な大地の躍動を想起させるリードトラック「Shelter Song」は、ローリング・ストーンズ、更に遡りアメリカ南部をも思わせるロックンロール・ナンバーとしてアンセミックな空気を纏い、讃美歌「Will the Circle Be Unbroken」を引用した「High & Hurt」はスリリングな演奏を聴かせつつ、コーラスで祝祭的なムードを演出しています。その後も激しくダンサブルな「Vendetta」、「Gold City」と続いていき、禁欲的な展開から壮大な最後を迎える終曲「The Holding Hand」まで、文句なしの完成度。コロナパンデミックにおいて、力強い温もりと確かな一歩を我々に与えてくれる、感動的な到達点です。

2. Little Simz / Sometimes I Might Be Introvertf:id:rykaworu:20220116002852j:plain
自己を見つめる旅はファンファーレとともに

 Little Simzの4枚目となる、このラップ・アルバムを2021年最重要作の1つとみなすことに、異議を唱える声は恐らくないでしょう。2021年の顔・Inflo(なんと幼馴染!)を前作に引き続きプロデューサーに迎えた今作は、高らかなマーチング・サウンドで始まる一曲目のタイトルが「Introvert(内向性)」であることに象徴されるように、劇伴のようなスケール感のトラックと、自己の内面性を描くリリックの両面が共存しています。自分の内側を見つめることで世界で起こっている混乱を正しく判断し、戦うための連帯を形成していく…その強さを昇華させたエネルギッシュなサウンドスケールは、圧巻の一言。個人的なハイライトは聖歌調のインタールードから始まる、「Point and Kill」~「Fear No Man」のアフロビート・セクションです。血湧き肉躍ること間違いなし!

1. BAND-MAID / Unseen Worldf:id:rykaworu:20220116002940j:plain
異端なヴィジュアル、正統派ハード・ロック

 メイド姿で活動する5人組ハード・ロック・バンド、BAND-MAID。ライブを「お給仕」、ファンを「ご主人様」「お嬢様」と呼ぶという、傍から見ればイロモノグループですが、研ぎ澄まされたリフと独創的なフレーズで暴れ回るギター、重心低くウネりまくるベース、手数足数いっぱいのパワフルなドラムに、爆音に負けない芯と艶のあるボーカル…と、音楽的な要素を拾っていくとまさに伝統的なハード・ロック・スタイル。音楽的基盤はオールドスタイルながら、テクニカル且つキャッチーなメロディ/フレーズのアイデアが限界まで詰め込まれており、ガンズやモトリーもビックリのバラード曲なしという攻勢一辺倒の構成を感じさせない、バリエーションに富んだ全く新しい音楽に仕上がっています。
 ぜひ頭からプレイして、目眩くキラーナンバーの数々でやられまくった果ての、スラッシュ・メタルスレスレの暴走クローザー「BLACK HOLE」でトドメを刺されるカタルシスを味わってください。

 

my favorite songs

1. Charli XCX / New Shapes (Feat. Christine and the Queens and Caroline Polachek)
MVも併せて圧倒的無敵感。Hyperpopの次はどこへ?「Good Ones」も最高でした。

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2. Adele / Love Is A Game
極端なことを言ってしまうと、数百曲分に匹敵するほどの価値がある楽曲だと思います。

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3. Official髭男dism / Cry Baby
あらゆるものが過剰に詰め込まれていて悪趣味な領域に入っているものの、あくまでポップシーンの真ん中を走っているという姿勢を貫いているのが最高でした。

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4. Doja Cat / Kiss Me More ft. SZA
名曲だと思います。コロナ禍だからこそ、ハートウォーミングな空気を纏うこの曲がマスターピースになったのかなとも。

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5. yuzuha / thru 7+
ST未配信。めちゃくちゃ聴きました。PinkPantheress辺りとも共振していると思います。

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個人的アイドル楽曲大賞2021

1. fishbowl / 観察
アイドル界隈で確変状態に入っているヤマモトショウの、個人的2021年ベストワーク。
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2. グデイ / マカロニ&チーズ
楽曲自体は2020年のものですが、2021年リリースのEP「ディグ(PURPLE)」に収録。2020年のSAKA-SAMAなどもそうですが、アイドル界の爆発的な創造性が凄まじいです。

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3. Ilie / aimai
金子理江のソロプロジェクト。ようやくST配信も行ってくれました。

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4. RAY / わたし夜に泳ぐの
2021年はRAYの音楽に文字通り救われました、ありがとうございます。ST未配信。

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5. 3776 / Stravinsky: Sacrificial Dance (from "The Rite of Spring")
ストラヴィンスキーの曲をスキャットにアレンジしてその踊ってみた動画をあげようなんて、誰が思いついて、そして誰が実際にやってみようと思いますか?

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